療養型病床群は、医療施設機能の体系化の一つとして、平成4(1992)年7月の医療法の第二次改正で制度化された施設類型であり、「主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容する」医療施設に位置付けられ、都道府県知事が承認するものとなっている。また、平成9(1997)年12月改正の医療法第30条の3第2項第4号(10(1998)年4月施行)において「療養型病床群に係る病床の整備の目標」を都道府県の医療計画において定めることと規定された。→青森県の整備目標 、整備状況
療養型病床群は、一般病院に比べ、病床面積や廊下幅を広くしたり、食堂・談話室等を設けるなど、長期の療養にふさわしい療養環境を整備することとされ、今後の高齢化の進展に伴い、多くの需要が生じることが予想される。また、平成12(2000)年4月から実施される介護保険制度における施設サービスの一つに位置付けられており、介護保険の基盤整備の一翼を担うものとして早急な整備が求められている→施設基準
施設基準の特例措置は平成11年度末までとなっているため平成12年度からは完全型しか申請が認められない。完全型となると現状の施設ではほとんど申請不可能となるため当院では平成12年3月に療養型病床群の申請を行う予定である。現在数千万円をかけて増築工事を行っている。
医療保険型と介護保険型
療養型病床群は現制度では医療保険でも介護保険でも申請できる。どちらを選ぶかは自己申告に任されている。(認可は県が行うので介護保険型が整備目標の予定数に達するまではほぼフリーとなると思われる)現時点では医療保険型、介護保険型、半々程度が推奨されている。
しかし介護保険型では介護認定を受けないと入院できない。施設入所が妥当とされれば無条件で入院できるがそれ以外では半年に4週程度のショートスティなどで利用されるのみである。従って病名がつけば入院できる医療保険型の方が利用範囲が広い。また65歳以下で介護保険適応外の病気で介護を必要とする人を収容できるのは医療保険型である。→介護保険との関連
老健施設、特養との関係
これまでのような制度上の老健、特養との明らかな違いは見られない。従って各施設で自分の存在意義を確認していかなければサービス競争で自然淘汰されていくことになる。療養型病床群は在宅を念頭に置いた一時収容施設としての役割を担っていくことになると思われる。→医療保険福祉審議会
なぜ療養型病床群が必要か?
今後の医療政策は一般病床に対してより短期の入院を求めていくことは明らかである。しかし高齢者の多い地域の病院はより長期の入院ができることを求められている。また在宅生活を考えれば他の機関とのサービス調整に時間がかかったり、自宅改造やベッドの準備に手間取ったりして入院期間を短縮することが難しくなる。このため入院期間の制限の少ない施設が必要となる。経営面だけで言えば入院期間を短縮させた方が有利となるが在宅との架け橋として考えれば療養型病床群は是非とも必要である。
加えて若年者の身障者施設は圧倒的に不足している。そのような人たちの受け皿となり得る療養型病床群は町にとって必要である。
田子病院における療養型病床群
より効率的で利用効果を高めるために介護型の療養型病床群は町の管理とする。20床の病床群のうち10床を介護型としてショートスティや緊急避難場所として利用する。医療型は介護保険からもれた人の緊急避難場所として利用する。
療養型病床群の中心となるのは看護婦である。補助看が増えるため看護婦の知的業務に対するニーズは高くなる。療養型病床群では看護婦の役割をきちんと認識していかなければその存在意義が問われることになる。(この部分は院内向けでした)