3分診療の弊害

数時間待って3分診療というのがどこの病院でも良く見られる光景です。このことは患者さんから挙げられる苦情として最も多いものの一つです。確かに忙しいために3分程度しか診れないというのは患者さんにとって大変不利益なことです。しかしそれ以上に3分診療によって3分しか診れない医者が増えてくることがより大きな問題です。患者さんに医療をするためには3分程度の情報では明らかに不足です。しかし何回か情報交換していくことによって貴重な情報が積み重なっていくはずですが、いつのまにか同じ会話で同じ治療をしているだけになってしまいがちです。時間に余裕がある時でも同じように流してしまって何ら進歩のある治療ができなくなってしまう。これが日常化すると仕事に対して生きがいを見出すことすら困難になります。このような医者が増えてくることが最も大きな弊害だと思います。

確かに現在の保険制度では多くの患者さんを診なければ病院経営が成り立ちません。しかしその制度に慣らされてしまうことは是非とも避けたいものです。私たちは短時間で必要な情報を集めて治療に生かす訓練をもっと積んでいかなければいけないと思います。

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